奇跡体験!アンビリーバボー 「頻発する人体発火!謎の火の玉恐怖の真相」

フジテレビ 2003年7月10日 19時57分〜20時54分放送

SHC(Spontaneous Human Combustion)は人体自然発火現象と呼ばれ、この現象は古くは16世紀の文献にも記載されている。現在までに報告されているだけでも世界各国で400件以上あるという。この人体自然発火現象には3つの謎がある。一つ目は、出火原因がわからないこと。二つ目は、人体と、人体が触れていた場所以外はほとんど燃えていないこと。三つ目は、骨まで焼き尽くされていることである。

出火原因に関しては、水晶玉や猫よけの水を入れたペットボトルが太陽光を集め、火種を起こして火災が発生したことや、長距離トラックの一部で使用された強い無線電波が、離れた場所にあったストーブの着火装置の誤作動を招いて火災になった例がある。一方、静電気が原因で発火したという例も報告されている。だが、このように科学的に説明のつくものもあるが、すべてが解明できるわけではない。

他の出火要因として考えられるのは、「球電現象」である。球電は雷雨の際にごくまれに発生する現象で、非常に強いエネルギーを帯びた発光体が、球体となって空気中を漂うという。球電発生のメカニズムは、落雷による放電現象で空気中に大量に放出された電子が、強力なエネルギーを持つ電磁波の塊のような球体になるというものが考えられている。

また一説には、落雷による影響で地中に含まれている金属のケイ素が一瞬に蒸発し、微粒子となって大量に空中に放出された際、集まりあいながら燃焼し、熱を帯びながら火の玉のような球体を形作るものといわれる。しかし、いまだにその仕組みは完全には解明されていない。

東京工業大学渡辺隆行助教授は、雷に比べるとエネルギーが非常に小さいため、球電を作り出すことは難しいという。その上で、球電が原因となった火災の例はあり、それが人間の体に当たって燃え上がることは考えられることだと話し、高周波熱プラズマ装置によってナノ粒子を生成し、その自然発火現象の実験を見せてくれた。

人間を焼き尽くす正体は球電なのか。球電についてはまだ研究中のため、これが人体自然発火の原因と結論づけることはできない。また事件当時、雷雨でなかったケースも多数存在する。一つの要因がすべてを説明できるのではなく、いくつかの要因が複合的に結びついている可能性もある。