九州大学大学院工学研究院 化学工学部門 | 研究プロジェクト

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地球温暖化防止と安心・安全な社会構築に貢献!

シミュレーションを駆使した燃料電池システムの高性能化

シミュレーションを駆使した
燃料電池システムの高性能化

民間企業と共同開発した環境に優しいエネルギー貯蔵装置

民間企業と共同開発した
環境に優しいエネルギー貯蔵装置

発電所から出る大量のCO2を大型ローターで濃縮・回収する装置

発電所から出る大量のCO2
大型ローターで濃縮・回収する装置

急速に進む地球温暖化の主な原因とされているCO2の排出量を抑えることは,世界的な最優先課題となっています.CO2発生の大部分は,発電所、工場や車などでエネルギーを作り出すために石油,石炭,天然ガスなどの化石エネルギーを燃焼させる際に発生します.原子力発電もありますが,核廃棄物処理の難しさや老朽発電所の解体問題があり,今後大幅には増えることはありません.太陽,風力,バイオマスなどの再生可能エネルギーの利用も考えられていますが,全エネルギーを賄うだけの量はありません.すなわち,遠い未来は別としても,少なくてもここ数十年は,化石エネルギーを利用しなければならないのが現実です.また,エネルギー利用の問題点として,消費されるエネルギーのうち有効に利用されているのは1/3程度で,それ以外は熱エネルギーとして無駄に捨てられていることが挙げられます.この無駄に捨てられている熱エネルギーを有効に使うことができれば,化石エネルギーの消費量を抑えることができ,それはCO2の排出量の低減にもつながります.

当コースでは,このような地球的規模の課題を背景として,エネルギー効率が高い燃料電池、無駄に廃棄されている熱エネルギーの有効利用技術,バイオマスや石油代替燃料を用いた発電装置,発生したCO2を大気に放出する前に回収する技術,反応を利用した物質と熱エネルギーの双方向変換システムなどの開発と高性能化を行っています.

さらに、これらの機器やプラントを安全かつ安定して稼働しなければならないことは言うまでもありません.これからの社会のキーワードは「安全・安心」な社会構築です.そこで、プラントの安定操業のための高度運転制御システム,プラントの安全管理のための安全性評価支援システムや異常診断システム,機器の故障診断システムなどの開発も行っています.

高度先進医療を創造する生物化学工学!

医薬品を作るニワトリ
細胞包括マイクロカプセル

細胞包括マイクロカプセル

ナノテクノロジーで作った心筋細胞シート

ナノテクノロジーで
作った心筋細胞シート

肝細胞組織体

肝細胞組織体

近年の分子生物学の進歩に伴って,様々な疾患に対する発症メカニズムが明らかとなり,医療技術の進歩とあいまって,多くの難治性疾患に対する新たな治療法が開発されています.しかし,こういった方法が実際に使われるためには,治療薬の効率的な生産,治療効果のさらなる向上などを検討する必要があります.同時に,効果的な全く新しい技術の開発も望まれています.また臓器移植においては,恒常的なドナー不足など,早急に解決すべき課題も山積みとなっています.これらの新技術の開発や課題解決において生物化学工学は極めて重要な役割を果たすことができます.

当コースでは,これらを背景として,遺伝子導入技術の開発,遺伝子組換え鳥類を用いた高機能性医薬品の開発と大量生産プロセスの構築,副作用のない癌治療技術の開発,高機能性生体材料の創出,再生医療を担う細胞組織体構築技術の開発,ヒト臨床用ハイブリッド型人工肝臓の開発など,先駆的かつ実用化を目指した研究を行っています.

さらに,バイオテクノロジーを駆使することで,酵素などの生体分子の活性向上や機能改変,また将来の再生医療を見据えた胚性幹細胞(ES細胞)を始めとする幹細胞を用いた研究など,日々の暮らしから高度先進医療技術の創造にわたる幅広いバイオエンジニアリング領域の教育・研究を精力的に推進しています.

図

機能性材料を進化させるナノテクノロジー!

2〜3nmの金粒子を内包したシリカナノ粒子

2〜3nmの金粒子を内包したシリカナノ粒子

超臨界流体中で合成したシリカエアロゲルの構造

超臨界流体中で合成した
シリカエアロゲルの構造

シリカナノ粒子を利用した光・電子透明ガラス

シリカナノ粒子を利用した
光・電子透明ガラス

科学技術の発展に伴い,ナノスケール(10-9 m)で構造が制御された物質が合成・設計できるようになってきました.物質をナノスケールまで小さくすることで,貴金属などの貴重な資源の使用量を削減できるだけでなく,これまでには想像もできなかった特異な化学的・物理的性質を引き出すことができます.このナノスケールの物質を扱う学問領域がナノテクノロジーです.単純な機能しか持たないナノスケール物質から高機能なデバイスを構築するには,複数のナノスケール物質を複合化・組織化しなければなりません.そこで化学プロセス・生命工学コースではナノスケール物質の合成・設計を行うだけでなく,物理化学,反応工学,生命化学工学などの学問領域を最大限に利用して,ナノスケール物質を複合化・組織化し,高機能なナノスケールデバイスの開発を行っています.

たとえばシリカ(SiO2)は最もありふれた無機材料の1つですが,この安価なシリカをナノスケールデバイスへ応用することを検討しています.有機溶媒中にナノスケールの水滴を含む状態であるマイクロエマルションを利用してシリカを合成することで,直径が10〜100 nmの範囲で高度に制御された球状シリカが合成でき,さらに球状シリカの中心に直径数ナノメートルの金属粒子を閉じ込めること,すなわちナノスケールのシリカと金属粒子の複合化に成功しています.この材料は触媒材料,水素―酸素燃料電池電極,光学材料の分野で注目されています.

またシリカを超臨界流体中で合成することも検討しています.超臨界流体とは,臨界温度,臨海圧力を超えた高密度流体であり,液体と気体の両方の性質を合わせ持つ特異な流体です.超臨界流体中でシリカを生成することで,粒子径が2〜3 nm程度のシリカ粒子が組織化したシリカエアロゲルが生成できます.シリカエアロゲルは,従来のシリカに比べ,比表面積が大きく,光透過性,断熱性に優れ,今後,触媒担体,吸着剤などの分野での利用が期待されています.

またナノスケールのシリカを高度に組織化することで,ナノスケールのガラスセラミックス材料も設計できます.IT技術の発展にともない,光に応答する機能性材料が求められ,光学技術を支える材料としてガラスセラミックスが注目されています.ガラスの組成はシリカでありながら,従来,安価なシリカ粒子から直接合成することはできませんでした.しかしシリカの構造・物性などの基礎的な知見を検討することで,安価なシリカ粒子から,半導体,光学材料,ならびに医療分野に応用可能な付加価値の高いガラスセラミックスの調製に成功しています.このように我々の身の回りのありふれた物質でも,化学工学の知識を総動員することで,ナノスケールデバイスを構築することができます.
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