九州大学工学部化学工学科
九州大学大学院工学府化学工学専攻
九州大学大学院工学研究院化学工学部門

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卒業生メッセージ

濵崎 央 さん

三菱重工業株式会社 総合研究所 化学研究部
2016年 修士課程修了

高校時代に好きだった化学の知識を活かしてエネルギー・環境問題の解決に貢献したいと考え、学部・修士の6年間化学工学を学びました。現在、私は三菱重工業株式会社でエネルギー変換プロセスの技術開発に携わっております。

化学工学は化学と工学技術からなる融合領域であり、「化学の有用な知見を社会に実装する」ための実践知を体系的に学べることが最大の魅力だと考えています。

例えば、現在の担当業務であるエネルギー変換プロセスは、電気化学という専門分野が基盤技術になります。しかし、製品として社会に実装するためには大容量のエネルギーを効率的、安定的、かつ安全に変換できることが求められます。そのためには電気化学だけでなく、物質移動工学/熱力学/材料力学/プロセスシステム工学といった工学技術が必須となります。これら一連の技術体系はまさに化学工学で学ぶ内容の一部であり、開発プロジェクトの責任者として①立ち上げ時に全体構想をまとめる上で、そして②立ち上げ後に都度直面する技術課題に対して多角的な視野で適正解を見出す上で、常に自身の判断の拠り所になっています。

また、化学工学を修めた卒業生は進路が多様で、企業に就職し、私のように基盤研究の知見を応用して実証機スケールで社会実装に耐えうる技術の開発に取り組む人、開発成果を基に商用機の建設に携わり実際に社会の発展に貢献する人、あるいはアカデミックでイノベーションの種となる基盤研究に従事する人、とあらゆるステージで活躍の場があります。

以上を踏まえて、このメッセージを読んでいる方で、学科/専攻選びを決めかねている方に私からのメッセージです。化学が好きで、①将来は社会実装の最前線に身を置き、社会をより良く変えていく手触り感を得たい方、あるいは②どういった進路が良いかは大学で幅広く学びながらじっくり決めたい方に、化学工学はあなたの選択を力強くサポートしてくれると確信しています。

少し長くなりましたが、人生の少し上の先輩として、このメッセージが皆さんの納得のいく人生選択の一助になれば幸いです。

長尾 匡憲 さん

九州大学大学院工学研究院 化学工学部門 助教 (現職)
DIC株式会社 技術部門
2019年 博士課程修了

化学システム工学は、ラボの限られた環境で生まれた革新的な技術が社会で有効利用されるまでの橋渡しをする学問です。私は学生時代、主に機能性材料 (特に高分子) について学び博士号を取得しました。卒業後は化学メーカーの製品開発業務に就き、機能性材料の開発に従事しました。私が会社のラボで生み出した製品が顧客に採用された後には、いわゆる大スケールでの生産 (スケールアップ) が控えており、そこには実験机のうえでは普段考慮しない様々な要因が含まれていました。例えば大容量における伝熱や撹拌効率の違い、および反応器内にて許容される滞留時間などです。私は学部時代に化学工学、そして大学院時代に材料科学について学んだことにより、製品の創発から顧客への出荷まで一貫して携わることができました。このような一貫性は『材料の化学的特性を理解したスケールアップ』および『大量生産時の工程・難所を予想した製品開発』というように互いの業務工程に貢献する良い要素だと考えています。

現在、私は再びアカデミックの世界に戻りそこで大学院性たちと研究に励んでいます。工学部の使命の1つとして、科学技術を社会や人の役に立てることが挙げられます。そのため機能性材料に関する研究を日々行うなかで、大気開放系・常温・水溶媒条件、などより広い許容性をもつ合成過程を取ることを常に意識しています。総合的な知見を以て社会に役立つモノづくりを志す人たちに、『化学システム工学』を強くお勧めします。

大室 早紀 さん

株式会社資生堂
2019年度 修士課程修了

学部から修士にかけて6年間化学プロセス・生命工学コースおよび化学システム工学専攻に所属し、理系学問を中心に幅広く学びました。中でも、学びの中で最も興味のあった生物分野と工学部ならではのプロセス視点を学べるコースに進み、動物を使った生体バイオリアクターに関する研究に携わりました。研究では社会的な課題や生産性を視野に入れながら、研究生活や論文、授業で学ぶ知識を活用しながら先生方と共に実験計画を立て、進めていく面白さがありました。企業に入社してからは工場での品質管理や量産化の業務に携わり、常に学ぶ姿勢や研究で培った思考のプロセスを活用できていると感じています。また、グローバルな環境も大きな魅力でした。多様な国籍のメンバーたちとのコミュニケーションは学生生活をより豊かにし、様々な価値観に触れることのできる貴重な経験だったと感じています。多様性を尊重する今の企業を選ぶきっかけにもなりました。

このメッセージを読んで興味の湧いたそこのあなたは是非進学を検討してみてくださいね!

熊井 絵理 さん

中国 清華大学 化学工程系 博士課程
2021年度 修士課程修了

環境、エネルギー、無機材料、有機材料、生体材料、宇宙資源など化学工学ではさまざまな分野の研究が行われていて、隣の研究室は自分の研究室と全然違うようにみえることを扱っています。その点が化学工学の面白いところだと感じます。九州大学の化学工学科は興味を持ったことをとことん探究できる場所です。研究や学習の面では、知識と経験豊富な先生方が時には方向を示してくださり、時には学生の考えを聞いて応援してくださいます。私は特に修士課程の2年間で、専門知識はもちろん、問題をみつけ解決法を考える力を得ました。これは今後どんな仕事をしても役に立つと思います。また、研究で困ったり悩んだりしたときに自分と同じように一生懸命研究に取り組んでいる仲間がたくさんいることはとても助けになりました。毎日のように切磋琢磨し苦楽を共にした同期や先輩後輩は、卒業後もまじめな話やたわいのない話ができるとても良い関係です。私は九大を修了後、海外でさらに化学工学を学ぶことを選びました。九大で出会った留学生や海外を経験してきた先生方の姿を見て、自分も挑戦したいと感じたからです。

知識や能力を身につけるだけでなく同じ志を持つ仲間に出会い、重要な決断もさせてくれた九大化学工学科という環境に私はとても感謝しています!みなさんも九大化学工学科で学んでみませんか?

補足:在校生のコメントには、在籍時の学科コース名、大学院専攻名が記載されています。

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