1.緒言
全固体リチウムイオン電池は従来液体の電解質を固体化することで,電気化学的安定性と高いエネルギー密度を獲得できるため,幅広い用途での活用が期待されている.固体電解質には様々な種類があるが,近年,その中でもアモルファス材料の研究が進められている.アモルファスは無秩序欠陥構造,等方性非周期構造という構造特性のため,高いイオン輸率と抵抗性結晶粒界の影響の最小化を実現できる.
高周波熱プラズマは,1万度の熱プラズマによる原材料蒸発,およびプラズマ尾炎部での約104 K/sの超急冷が可能なため,アモルファス材料の合成に適している.また,無電極放電のため電極由来の不純物が混入せず,高純度のナノ粒子生成が可能である.
先行研究より,3成分系のアモルファス酸化物固体電解質において,ホウ酸塩は網目形成に寄与すること,酸化ゲルマニウムはアモルファスの骨格部分を担うことが期待されている.そこで本研究では,高周波熱プラズマを用いたアモルファスLi-B-Ge系酸化物ナノ粒子の合成,および生成機構の解明を目的とした.
2.実験方法
キャリアガスとともに供給された原料粉体はプラズマトーチ内で蒸発し,反応チャンバーにおいて均一核生成,不均一凝縮および凝集を経てナノ粒子となる.生成したナノ粒子はガスによって回収部に運ばれ,回収フィルターにて回収された.
実験条件は,周波数4 MHz,投入電力20 kW,インナーガス流量Ar 5 L/min,シースガス流量Ar 57.5 L/minおよびO2 2.5
L/min,キャリアガス流量Ar 3 L/min,原料供給速度0.50 g/minとした.原料粉体として,Li3BO3,Li2CO3,Geを用い,組成をモル比でLi
: B : Ge = (a)1 : 0.33 : 0, (b)1 : 0.32 : 0.012, (c)1 : 0.30 : 0.025, (d)1
: 0.26 : 0.057, (e)1 : 0.20 : 0.099とした.合成したナノ粒子は,XRD,ラマン分光法,TEM,EDSにより分析した.
3.実験結果および考察
生成物のXRDの結果において,すべての条件において,BはLi3BO3として確認された.(a), (b), (c)の条件において,Geは結晶相として明確なピークは示さなかった.一方で,Ge含有量が多い(d),
(e)の条件では,Li4GeO4およびLi2GeO3として確認された.また,XRDより求めたアモルファス相の割合は,(a)の条件で21.9 %,(e)の条件で31.1%を示した.これは原材料中のGe量が増加することで,Li4GeO4中のO-Ge-Oの角度分布が広がり,SROの無秩序傾向が強まるためである.
TEMより,いずれの条件においても生成物は球形で,平均粒径が150-200 nm程度であった.STEM-EDSより生成物の粒子形態および元素分布を調査した.Li
: B : Ge = 1 : 0.30 : 0.025における元素マッピングをFig. 3に示す.B, Ge, Oが全体的に分布する様子が確認された.XRDの結果と比較することで,Geはアモルファス相に存在することがわかった.
4.結言
本研究では,アモルファスLi-B-Ge系酸化物ナノ粒子の合成において,原材料組成の違いによってアモルファス相の構造が変わることが明らかとなった.高周波熱プラズマを用いた4成分系アモルファス酸化物電解質の合成は全固体電池の電解質開発において更なる応用が期待される.