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論文題目「多相交流アークを用いた炭化水素の熱分解によるアセチレンとナノ炭素材料の生成機構の解明」

川下知泰
1.緒言
アセチレンは溶接・切断や有機化学原料として広く利用されているが,従来の部分燃焼法はCO?を直接排出し,反応場が低温であるためアセチレン収率が低いといった課題がある.
一方,熱プラズマによる炭化水素の熱分解はCO?を排出せず,高温反応場を形成できる点や,ナノ炭素材料を同時合成できる点などから,注目されている.これまで,三相交流アーク,DC-RFハイブリッドプラズマ,ロングDCアークを用いたメタン分解プロセスが報告されている.また,アセチレン合成に着目したものもあり,アセチレン収率が90%を超えた先行研究もある.しかし,供給原料のH/C比とアセチレン収率の関係は十分に解明されていない.再結合過程において,反応場に供給される水素量と炭素量の比は生成物に影響を及ぼすと考えられる.本研究では多相交流アークを用い,H/C比がアセチレン収率に与える影響を評価した.

2.実験方法
本研究では,Arをプラズマガス(80 L/min)として供給し,電流実効値83 A,圧力80 kPaとした.原料としてC2H4あるいはCH4を供給し,プラズマガスにH2を添加することでH/C比を2~12とした.
生成ガスはガスクロマトグラフを用いて分析し,ガス組成からC原子基準のアセチレン収率を算出した.

3.実験結果および考察
いずれの条件においても生成ガスは水素,メタン,アセチレンで構成されていた.
H/C比が上がるとアセチレン収率は大きく上昇した.H/C比が高い場合,再結合の過程においてC2ラジカルがH原子と反応する確率が高まる.よって,固体炭素生成よりもアセチレンなどの炭化水素生成が選択されやすくなったと考えられる.
またH/C比が同じ条件においても,原料がエチレンの場合,原料がメタンの場合に比べてアセチレン収率は高くなった.このことからH/C比のみならず原料の初期構造の違いによる影響も確認された.

4.結言
多相交流アークにおける炭化水素の熱分解において, H/C比がアセチレン生成に与える影響を明らかにした.多相交流アークを用いたアセチレン合成において,原料のH/C比が重要なプロセス変数となりうることが示唆された.

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