2026年度 学科長/専攻長メッセージ
化学工学科長、化学工学専攻長からのメッセージ
井上 元

九州大学工学部化学工学科・大学院工学府化学工学専攻へようこそ。
2026年度、本学科の学科長を務めます井上です。私自身も、この九州大学化学工学科の卒業生です。
いま世界は、大きく揺れ動いています。資源・エネルギー問題、環境負荷の低減、医療・バイオ技術の進展、先端材料開発、国際情勢の変化。そこに加えて、生成AI技術の急速な発展が、研究・開発・教育のあり方そのものを大きく変えつつあります。
しかし、どれほど時代が変わっても、本質は変わりません。新しい現象を深く理解し、新しい材料やプロセスを設計し、それを社会の中で本当に機能する技術へと育てていく営みは、これからも必要であり続けます。私は、こうした時代だからこそ、化学工学の重要性と可能性は、ますます大きくなると考えています。
本学科のミッション・狙い
化学工学は、単に新しい物質や反応を見つける学問ではありません。それらを、安全に、安定して、持続的に社会で使える仕組みへと橋渡しする学問です。現象を理解し、モデル化し、設計し、最適化し、実装する。その一連の流れを本気で担うのが、化学工学です。本学科は、化学、物理、数学、情報を基盤に、環境・エネルギー、材料、医療、バイオ、データ科学までを視野に入れながら、未来社会を支える研究者・技術者を育成することを使命としています。表面的な流行に左右されるのではなく、本質を見抜き、複雑な現象を解きほぐし、新しい価値を社会に実装できる人材を育てたいと考えています。
本学科の研究と教育
本学科では、遺伝子工学、培養工学、再生医療、製薬・細胞培養、全固体電池、反応・輸送現象のモデル化、プラズマ・マイクロ波プロセス、機能性材料、環境調和型プロセスなど、多彩な研究を展開しています。社会課題に近いところで、基礎と応用をつなぎ、世界水準の研究に挑んでいます。私自身も、電池や機能性材料の中で起こる複雑な現象を数値モデルで捉え、シミュレーションや機械学習を活用しながら、より高性能な設計へとつなげる研究に取り組んでいます。新しい材料や現象の発見はもちろん重要です。しかし、それを社会実装へとつなげてこそ、本当の価値が生まれます。そこにこそ、化学工学の醍醐味があります。
また、生成AIが急速に普及する時代だからこそ、私たちに求められる力はより明確になっています。情報を受け取るだけではなく、現象を深く理解し、データを読み解き、数理的に考え、よりよいプロセスやシステムを設計する力です。本学科では、化学工学の基礎を大切にしながら、モデリング、シミュレーション、データ駆動型研究、設計・最適化までを視野に入れた教育と研究を進めていきます。
学生への期待とメッセージ
学生のみなさんには、ぜひ広い視野と強い好奇心を持ってほしいと思います。目の前の知識を覚えるだけでなく、「なぜこうなるのか」「どうすればもっと良くできるのか」「この技術は社会でどう役立つのか」を、自分の頭で考えてほしい。変化の激しい時代だからこそ、自ら問いを立て、本質を見極め、粘り強く考え抜く力が、ますます大切になります。
化学工学は、広く、深く、そして社会に近い学問です。だからこそ、学ぶほどに新しい出会いがあり、挑むほどに新しい可能性が見えてきます。本学科での学びと研究が、みなさん一人ひとりの未来を切り拓く力になることを、心から願っています。
2026年度も本学科は、教育と研究の両輪で、化学工学の可能性をさらに力強く切り拓いてまいります。
Not challenging ourselves is not an option.
2026年度化学工学科長,化学工学専攻長 井上 元
「九州大学井上元【R8工学部Ⅱ群化学工学科長】」X(旧twitter)
2026年4月

